今冬は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とインフルエンザの同時流行という状況に直面する可能性が出てきました。
日本感染症学会は今冬にインフルエンザと新型コロナウイルス感染症が同時流行した場合、重大な事態になるとの危惧を示しています。
そこで今回…、
以前ブログにあげさせてもらいました「熱中症と新型コロナウイルス感染症の違い。」に続き、
「インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の違い」です。
(前と同じで、この症状があったら新型コロナウイルス or インフルエンザ、と判定するのはなしです。)
8月早々に日本感染症学会が「今冬のインフルエンザと新型コロナウイルス感染症に備えて」を発表していますので参考にしてください。
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2008_teigen_influenza_covid19.pdf
インフルエンザと新型コロナウイルスの混合感染も報告されているので、今年の冬は、インフルエンザなのか、新型コロナウイルスなのか、あるいはインフルエンザと新型コロナウイルスの混合感染なのか、またはそのどちらでもないのか、など様々な状況に対処しなければならないと考えられるのです。
<日本感染症学会ホームページより引用> ※COVID-19=新型コロナウイルス
2つの感染症の鑑別の目安として、症状、潜伏期間、無症状感染、ウイルス排出期間とピーク、重症度、致死率などの項目ごとに、特徴を明確に示した表がありました。
特に注目すべき点は…、
① 無症状感染・・・新型コロナウイルス感染症では無症状感染者が高頻度に存在し、無症状であっても気道のウイルス量が多く、発症直前に最大量となり感染性が強くなります。
そのため、
症状から感染者を診断し、隔離することは困難。
インフルエンザは無症状感染の割合が低く、また発症1日前から気道にウイルスが存在するが、ウイルス量は少なく感染力は弱い。
発症2日目になると気道のウイルス量が増加し迅速診断で陽性化しますから、インフルエンザは原則、発熱を指標に診断し患者隔離が可能。
しかしながら外来診療の場では、インフルエンザでの突然の高熱、新型コロナウイルス感染症での味覚障害や嗅覚障害などという特徴的な症状がない場合、臨床症状だけで両者を鑑別することは困難と思われます。
②流行状況・・・新型コロナウイルス感染症は、地域によって流行状況に大きな差異があります。
新型コロナウイルス感染症患者が発生している地域でインフルエンザが流行した場合は、両方の患者に遭遇する可能性があります。
その際、臨床症状のみでインフルエンザ治療を行うと新型コロナウイルス感染症を見逃してしまう恐れがあります。
ですから新型コロナウイルス感染症の流行が見られる場合は、インフルエンザが強く疑われる事例を除いて、「両方の検査を行うこと」が勧められています。
※同時流行とは反対に、ウイルス同士の干渉が起こって、インフルエンザ患者が減少するのではとの見方もあります。
仮に干渉が起こってインフルエンザの流行が小さくなったとしても、新型コロナウイルス感染症の感染力は変わらないのですから、最大限の警戒をしておくべきです。
新型コロナウイルス感染症対策として行われている飛沫感染対策や手指衛生などの予防策がインフルエンザにも有効だったことを意味するので皆さん油断せずに。
1.外出後のうがいと手洗い
2.適度な湿度の保持
3.十分な睡眠
4.バランスのとれた栄養摂取
5.適度な運動
6.人混みや繁華街への外出を控える
7.マスクの着用
8.予防接種
などなど。
※8のインフルエンザの予防接種について。
①予防接種の回数は?
生後6か月~3歳未満は、0.25mlを2回接種
3歳~13歳未満は、0.5mlを2回接種
大人(13歳以上)は、0.5mlを1回接種
(2回目を受けるタイミングは、1回目の接種から2~4週間後です)
*該当年齢でも、医師の判断で1回もしくは2回にすることもあります。
②予防接種を受ける時期は?
予防接種の効果は2週間からは5ヶ月程度ということです。
流行するのが12月~3月ですので10月~11月中に予防接種することをお勧めしております。
今年度、福岡県では、
65歳以上の方、
もしくは、
65歳未満の慢性高度心・腎・呼吸器機能不全者等の定期接種対象の方
は、医療機関の窓口での負担なく無料で接種できます。
お住いの市町村や医療機関で実施期間が異なりますので、市町村が発行している広報誌やホームページ等でご確認ください。
皆さん、頑張ってこの冬を乗り切りましょう‼